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受験情報を発信しているし、プロフィールにも偏差値のことを記載しているし、何なら成果上げてますってアピールしている(ように見えるかもしれない)ので、偏差値至上主義なんでしょ?と思われても仕方ない筆者が、あえてこのテーマを選んだのは、中学受験を始め、多くの受験で扱われる「偏差値」というものに誤解が付きまといがちなのではないか?この誤解により、多くの子どもや親御さんが自身や周りを苦しめているのではないか?と感じたからです。
近年、中学受験者が急増しているということがまたニュースになっています。
首都圏では、2024年度は受験率18.12%の52,400名が受験。公立の中高一貫校を含めると、およそ4.7人に1人が中学受験をしているという計算になるそう。
関西圏では、応募率10.6%の17,975名が受験。およそ9.4人に1人が中学受験をする計算になります。
受験者数、受験率共に増加傾向のニュースは、もはや毎年恒例になっていますね^^;
「中学受験」というキーワードで動画を検索すると、あらゆる切り口で投稿されており、数万〜数百万再生のものも (…!) 関心の高さが窺えます。各教科の勉強方法や内容をアップされているものもあれば、ニュース番組の特集として組まれているものから、個人あるいは学習塾の講師(現役でない人も含む)が家庭での取り組み方や受験生との向き合い方などを発信するものも非常に多いです。
特に、子どもだけでなく、親の努力も大きく影響する中学受験は、親子ともにヒートアップしがちなのです…のめり込み過ぎて、教育虐待に発展してしまうことも (汗)。親子で精神を病んでしまうこともある中学受験、アリかナシか?!の論争も何かと話題になります。
受験をするということは、他者との競争であり、その指標となるのが偏差値であるため、躍起になりがちです。だからこそ、今一度”偏差値”というものを正しく理解することが求められると思うのです。
そもそも偏差値とは?
そもそも偏差値ってどう解釈したら良いのでしょうか。本当の意味で理解していますか?
あまり詳しく書いても???となってしまうかもしれませんが、最低限必要なことには触れつつ、ざっくり分かりやすくお伝え出来たらと思います。
偏差値の計算方法
偏差値は、50を基準にして、自分のテストの点数が平均とどれくらい差があるかを計算した数値です。
具体的には、以下の式で求められます↓
(自分の得点-平均点)÷標準偏差×10+50
一応載せておきますが、別に計算しなくてもテスト結果には大体書いてあるので、そんなに気にしなくてOKです^^ また、低学年のテストは書かれていないことが多いです。テストを受ける人数がそもそも少ないため、計算したところで出てきた数値に信頼性がないと判断されるためです。
ざっくり言うと、偏差値を算出することで、全体(母集団)から見てどれくらいの立ち位置にいるかが分かるので、今の実力がどのくらいかが判断できるのです。偏差値50以上であれば、他の多くの人よりかは出来てるかな、50以下であれば多くの人に比べてあまり出来てなかったかな、と言った具合にです。
偏差値をどう捉えるか?
では、出てきた偏差値をどのように解釈すれば良いのでしょうか。
計算式からも分かるとおり、偏差値を計算する際に平均点を用いることから、偏差値は全体の人数(母数)に大きく影響されるということになります。
つまり、対象のテストを受ける人数が多いほど信頼度が高いと言えるのです。
受ける人数が少ないテストで出た偏差値と、受ける人数が多いテストで出た偏差値では、単純に比較することが出来ないのですね。
例えば、小学1年生と小学6年生が受けるテストの人数は当然同じではなく、たとえ偏差値が同じであっても意味合いが異なり、小6で判定された偏差値の方がより現実に近く、信頼度が高いと言えます。小1でテストを受ける人数はそもそも少ないので、判定されたものを鵜呑みにするのは危険です。ちなみに、次男が小1のとき受けた浜学園の公開テストの受験者数は448人、長男(小5)が最近受けたテストでは約1万人でした。上記のニュース記事によると、2024年度受験者数は首都圏で52,400人、関西圏で17,975人だったので、低学年時と受験直前期に受けるテスト受験者数がいかにかけ離れているか?が見て取れると思います。
ただ、小1の時点で大手塾のテストを受けるということは、親御さんの意識が高く、子どもの学力に自信のある層が受けている可能性が高いと考えられるので、ある程度の目安にはなると思います。ただ、小1の時点で偏差値が高いからと言って、今後も高い数値を維持し続けられるかどうかは別問題ということですね。
なぜ塾によって数値が変わるのか?
偏差値は、受ける人たち(母集団)がどんな層か?によっても大きく変わってきます。例えば、灘中の入試問題は約6割を合格点としていますが、この位の難易度のテストを6割以上取れる実力のある集団が母集団なのか、平均して3割ほどしか取れない集団が母集団なのかで、同じ点数でも算出される偏差値が異なるのです。
これが、同じ学校でも塾によって偏差値が異なる理由なのです。
例えば、灘中は希学園の偏差値では65、日能研の偏差値では71となっています。これは、母集団の学力が高い希学園の方が偏差値が低く出るという結果を示しています。
※参考データ(日能研HP)
偏差値は高ければ高いほうが良いか?
ここまでで述べたことからも分かるように、偏差値は母集団の人数と学力により数値が変わるため、偏差値だけで学力が高いと判断できるのかというと、そうではないということになります。あくまで、どの集団のどの時点のものなのかで変わる一時的な数値なのです。
なので、「よく〇〇さんは偏差値いくつ?」とか、「私は昔偏差値が60あった。」などの類の話があまり的を得ていないことがお分かり頂けるかと思います。偏差値70もあれば、上位層なのかな?という予想は出来ますが、偏差値50台だからそこそこの学校しか受からないとも言えないってことですね。
何より、中堅校の合格に強い塾であっても、中学受験をするという集団に属している時点で、中学受験をする集団はしない層よりも学力が高い傾向にあるのです。偏差値50って中間層でしょ?っていうことではなく、そもそも偏差値50をとることが難しいという解釈をすべきってことですね。
偏差値一覧表の見方
各塾が公表している偏差値一覧表。
例えば、簡単にまとめるとこんな感じのものです。
偏差値 | 関東(男子) | 関西(男子) |
---|---|---|
60〜 | 開成(72)、渋谷幕張(69)、 麻布(67)、本郷(61) | 灘(71)、洛南(70)、西大和(67)、 東大寺(67)、甲陽学院(65) |
50〜 | 城北(56)、高輪(55)、巣鴨(55) | 六甲学院(58)、白陵(58)、淳心学院(54) |
40〜 | 関東学院(49)、芝国際(45) | 同志社(48)、立命館(48) |
しれっと出してくるので、案外見逃しがちなのですが(大して説明もないので。)、ここで使われている偏差値は、厳密に言うと、”80%偏差値”を指しているんです。この”80%偏差値”ってどういうことかご存知ですか?
ざっくり言うと、”80%の確率で合格できる偏差値”という意味なのだそう。
先述のとおり、各塾で偏差値は異なるのですが、当然解釈も異なります。
日能研では、これをR4と呼び、以下のような基準を設けています。
合格可能性を示す数値で、偏差値による合格率の各段階(RANGE=レンジ)を示し、『R4=80%、R3=50%、R2=20%』を意味します。
日能研HPより。https://www.nichinoken.co.jp/np5/schoolinfo/r4/expectr4.html
希学園の偏差値は、塾生や模試、説明会を受けた人のみに公表されているようです。
つまり、この偏差値一覧表に掲載されている偏差値を取っていれば、合格!というのは厳密に言うと間違いで、“80%の確率で合格する”という解釈の方が正しいので、注意が必要です。
偏差値の高い学校は良い学校と言えるか?
当然そうとは言えないというのが答えになります。
あくまで各学校は、入試問題として出す各教科の理解度を図っているだけです。偏差値は各塾が目安として模試や入試結果から公表しているに過ぎないものです。
そもそも、何を持って“良い学校”と言えるのか?という問いを今一度胸に手を当てて落ち着いて考えてみましょう^^
視点としてはいくつか考えられます。
- 大学進学実績が良いか
- 魅力的な部活動、校内外活動があるか
- 学校の雰囲気が良いか
- 学校の評判が良いか
①大学進学実績が良いか
行かせたい大学への進学実績が良いというのは、卒業後の選択肢が増えるという点で、正直親としては見逃し難いところでしょうね。ただ、現時点の子どもの学力や性格・気質から、これが最も重要な視点かどうかの見極めは必要かと思います。
②魅力的な部活動、校外活動があるか
各部活動や校内外活動で活躍している中高生はたくさんいますよね。中には各分野で全国大会に出るなどの功績を残す子どもたちも。各学校のパンフレットにはこれらの活動をアピールする内容が掲載されていたりします。勉強以外にも、夢中になれる活動があって、それらを応援してもらえる環境があるということはそれだけで学校を選ぶ大きなポイントになり得ます。
③学校の雰囲気が良いか
子どもの性格・気質に合った学校かどうかの視点も大事なポイントになります。これは偏差値では推し量れないことですので、大きなイベントや特徴的な行事があるか、生徒やクラスの規模、普段の授業の雰囲気はどうか、などをオープンスクールなどでしっかり確認することと、先輩やその親御さんから生の声を聞くことで判断していくことをオススメします。
例えば、インドアな趣味を持つおとなしい性格で勉強よりも校外活動を優先したいと思っている子どもが、勉強メインの雰囲気で、各コンテストで優秀な成績を修めたり表彰されたり、前に出る人が主に注目されるような(それ以外の子に視線が集まらない)前のめりな雰囲気の学校に通うことで、楽しい輝ける中高時代を送れるでしょうか?そうでない未来しか見えません(笑)
④学校の評判が良いか
学校現場の先生たちは学校全体で今現在、そして将来の子どもたちのことを本気で考えてくれているのでしょうか。熱血で、根っから子ども好きな方ばかりだと信じたいですが、特に私立の学校は経営最優先ですから、実際はそればかりとも言えないかもしれません。その見極めは非常に難しい問題です。学校がオープンスクール等で公式に発表する内容は、当たり前ですが学校にとって都合の良いことだけなので。。
残念なことですが、最近のニュースでも子どもの安全が脅かされる事件が報道されました。
当然こういった学校の評判は落ちてしまい、人が集まらなくなることは容易に想像できます。ニュースになるのは氷山の一角とも考えれますし、様々な視点から情報を得ていくことで想像し得る問題(いじめなども含めて)は出来るだけ回避したいですよね。
ちなみに、偏差値が高いから性格が良い子が集まっているか?というのも感覚的に?と思われる方も多いのではないかと思います。正直これも偏差値とは関係のない次元の話で、上で述べた④つの視点を総合的に見て判断するしかないのかなと感じます。
そもそも、入試では人間性までもは図れません。面接をしたり、小学校で取り組んできたことを作文等で提出させる学校もありますが、ごく一部であり、「人として優秀か?」「魅力的か?」までを判断することは出来ていません。なので、偏差値だけでは推し量れないものを大人が見極める必要があるのです。
まとめ
よく耳にする「偏差値」について、少し深堀りしてお伝えしました。
「偏差値」というのは、一時的な結果であり、あくまで目安です。もし子どもが目標とする偏差値があり、現時点の数値との乖離があるなら、そこに向けてどんな過程(勉強)が必要かを考える材料でしかないということです。偏差値を活用することで、今出来ていない問題を確認し、1つ1つクリアにしていくとおのずと偏差値は上がっていくものです。単純に言うと、正解する問題が増えれば増えるほど偏差値は上がるし、間違えれれば間違えるほど偏差値は下がりますね^^
6年生で志望校を決めるまでは、あくまで目標とする数値だと考えておく程度でちょうどよいかもしれません。
怖いのは、子どもたちや親御さんの中でも、偏差値という数値が独り歩きして、それがまるで偏差値=その人の価値(レベル)かのように語られてしまうことです。特に、低学年のうちにレッテルを貼ることはその子自身のアイデンティティを傷つける、とても残酷なことです。周りの人たちに向ける目もそのようになってしまいかねません。そうならないためには、偏差値の意味を正しく理解すること、なぜ中学受験をするのか?を常に自問することだと思います。もしその数字だけが目に入ってくるようなら、偏差値に踊らされている、塾業界、教育業界に踊らされているかもしれないと冷静に我を振り返った方が良いかもしれません。子どもという1人の人間を見たときに、どういう中高時代を送って欲しいのか、どんな人間になって欲しいか、じっくり考え、子どもと対話をすることが重要ですね^^
子どもたち一人ひとりが自分らしい、等身大の自分で居られる環境で、伸び伸び中高時代を送れるようにサポートしたいですね^^
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